「なるの部屋」では、さまざまなステージでのキャリア形成を成功に導く対策を紹介しています。
もはや昇格のチャンスは、年功序列でやって来ません。自身の行動や意欲をもって、自ら獲得するしかない時代になっています。
この記事では、僕が病気で社内の競争に出遅れたハンデを克服して、昇格のチャンスをものにしたその具体的な方法を紹介していきます。
あなたも近い将来を見極め、昇格のチャンスを獲得する確率を高められるはずです!
昇格しなければ起こること
「中堅」と呼ばれるようになったあなたは、社会人生活の中でもしかすると、コーポレート・ラダーに乗ってすんなりと昇進・昇格していく同期や、場合によっては後輩をしり目に、ジェラシーを感じているかもしれません。
でも、そんな悔しい思いのままいてもいいんですか?
決して良くはありません。
運よく何もせず昇進・昇格していく人はほんのわずかで、自ら動き出して獲得しにいかないとチャンスがやって来ない時代になっています。
確かに昇格すると、
◆ 給与が上がる
◆ 責任のある、やりがいのある仕事ができる
◆ 社外の関係者から「肩書」で一目置かれる
といったことがあります。
一方、もしそのチャンスを逃してしまうと、
◆ 昇格した同期と給与にますます差が出る
◆ 後輩に先を追い越され、場合によっては後輩が上司になる
◆ 昇格不適合と判断され、今後候補としてノミネートされない
といったことが起こりかねません。
僕も実は、そんな苦しみや悔しさの中にいました。
プロフィールにも書きましたけども、入社直後望み薄な部署に配属されたうえに、パワハラで病気になり、キャリアとして少なくとも8年間の遅れを強いられたのです。
それでも、自分の存在価値を高めようと必死にやってきて、おそらくすんなりと昇格できた人からすると10年以上も遅れて、昇格することができました。
そんな普段は他の人が経験しないような時間の中で、また多数の若手の育成や年上の部下とのコミュニケーションの中で
僕は昇格のためのミソがわかるようになりました。
そこで、その一部をこの記事で紹介していこうと思います。
昇格できるかどうかの見極め
まずは自分で克服できること、自分でコントロールできないことに分けて考えたいと思います。
自分で克服できること
まず、昇格のチャンスが回ってこない原因で思い当たるのは、次のようなことではないでしょうか?
これらについては、自分で克服することができます。
◆ アピールが足りない
◆ 業績が不十分
◆ 上司から管理職 (マネジャー) としての資質が不十分と見られている
アピールが足らない
周囲の同僚に比べて自分のアピールが足らないと感じるときは、その原因として、あなた自身に自信がない、性格がおとなしい/消極的、などが思いつくのではないでしょうか?
これは、自らマインドセットを変えることで克服できます。
とは言っても、そんなに自分の内面をすぐに変えられないですよね。
それにはまず、モチベーションを上げるために、昇格したい理由を明確にしてください。
もっと稼ぎたい、部下を育成したい、もっとやりがいのある仕事をしたい、業務を通じてより大きく社会貢献したいなど、いろいろ挙げることができると思います。
そして、自ら上司へ面談を積極的にお願いすることをお勧めします。
できれば、週一とか隔週の定期面談 (最近では1:1、ワンオンワンとも言ったりしますが) にしてしまってもよいと思います。
その中で、上の理由をどのように実現するのか、熱意を持って話し合ってみてください。
そうすると、飛躍的にアピール度が上がり、同時にご自身が修得すべきことも明確になるでしょう。
業績が不十分
そして業績が不十分と感じる場合には、もっと関わる仕事を増やせないか考えてみましょう。
周囲で行われているプロジェクトに興味を持ち、口出ししてみる、質問してみる、などの行動から始め、そのうちなんとなく勝手にプロジェクトにお邪魔してしまいしょう。
場合によっては、自分が興味のある仕事に関してインフォーマル (非公式) な勉強会を立ち上げて、そこのアクションを業務化・会社のプロジェクト化してしまう。
あるいは、営業成績が足りないなら、周囲の成績が良い人のやり方や行動を完全にまねてみる、など考えられる努力を全部試してみましょう。
まねてもだめなら、だめな原因を分析してみてやり方を変えてみる、その繰り返しが結果を生みます。
資質が不十分
社会ではその職務・責任に応じて、求められるスキルが異なり、これは「カッツの理論」で説明されることが多いです。
下のイメージ図は、「カッツの理論」で説明されるもので、管理職層は、テクニカルスキルいわば業務の専門性はもちろん、ヒューマスキル、そしてコンセプチュアルスキルをバランスよく持ってることが求められます。
「業績が不十分」はテクニカルスキルの不足、「アピールが足らない」というのは多くの場合はユーマンスキルの不足に起因します。
「資質が不十分」とは、この3つのスキルのうちいずれかが、見劣りすると思われているということです。
コンセプチュアルスキルは「問題解決能力」と言い換えることもできると思います。
それには、これから説明する「ビジネスフレームワーク」を習得して、普段の業務で実践することが効果的です。
ヒューマンスキルについては、率先して後輩の育成を買って出てみて下さい。
管理職には「部下の育成」の意欲や能力が問われます。
後輩がが改善しなければ点だけでなく、自分に足りないことも具体的にわかってきます。
また会議で、積極的に周囲のためになる発言を繰り返すことも効果的です。ひとつの会議につき2、3度意識的に発言、問題提起するなど、その回数に目標を立ててしまうのもよいでしょう。
自分にはコントロールできないこと
- 会社が学歴/学閥を重視
- 上司に好かれていない
- そもそもポストが不足している
などが挙げられますが、これらは自分の力では本当にどうしようもありません。
実際、自分の昇格が遅かった (40歳代後半で昇格したのが異例中の異例) のも、これらが原因の一つでした。
内資系の企業は、まだまだ学歴や学閥が強くて、そのコミュニティに入っていない人は圧倒的に不利です。
また上司に恵まれなかったり、昇格するポストがある部署に所属していないというのも、100%「運」だけの問題ですので、これに抵抗することはできません。
これらは、時間が経ってもきっと解消しないので、外部を見て転職を積極的に検討する方がよいと思います。
本サイトの別の記事でもお伝えしているように、転職には時間がかかります。
早めに見極めて、転職の準備に取り掛かりましょう。
昇格のチャンスを獲得するためにやっておくこと
自己啓発・学んでおくこと
「カッツの理論」でいうコンセプチュアルスキルを高めるためには、MBAの取得で学ぶ次のことを中心に勉強することをお勧めします。
- ビジネスフレームワーク
- マーケティング
- ファイナンス
ビジネスフレームワークには、別の記事で紹介しますが、クリティカルシンキング の基本となるMECE (ミーシー) やピラミッドストラクチャー (ロジックツリー) から、
あまり馴染みがないけれどRACI (レイシー) といった責任の構造化・見える化に威力を発揮するものまで多数あります。
こういうことを学んでおくと、業務上で何か問題に出くわしたときに、その問題を整理してみるのに本当に役に立ちます。
トラブルがあったとき上司や同僚に、「これには、〇と▼の問題があって、そのルートコーズ (根本原因) は◇だから、■で対応してみては?その理由と根拠は◇だからです」など、あてずっぽな感覚からではない論理性のある提案ができると思います。
そうすると周囲から一目置かれる可能性が高まります。
マーケティングについてもいろいろ基本的なPEST (ペスト) やSWOT (スオット) というフレームワークや、セグメンテーションとターゲティングの違いや施策を講じるまでの順番なども、きっちり把握しておくことをお勧めします。
もしあなたがコマーシャルやセールス部門でなくても、社内ネットワークを広げるために相手の困りごとを理解することはとても重要ですので、知っておくのに損はありません。
社内の信頼を勝ち取り、チャンスを増やすようにしましょう。
また、ファイナンスの基本的な知識として、財務諸表 (損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書のいわゆる財務三表) の構成、意味、見方は必ず修得しましょう。
財務部/ファイナンス部署でなくとも自社や競合他社の強みや弱みを把握することができ、社内への提案に役立ててください。
こういった自己啓発はあなたの自信に直結して、きっと昇格チャンスをゲットする確率を高めるはずです。
逆に言えば、こういったことを学ばなければ、チャンスはあません。
昇格のチャンスを察知したら始めておくこと
昇格のチャンスの「におい」がしたら、昇格試験の情報を早めに入手してください。
ふだんから上司や先輩に、昇格前にどんな試験を受けたかを探ってみましょう。
具体的な試験問題は覚えていなくても、どんな内容だったかさえわかれば察しがつきます。
昇格試験(筆記/テストセンター)としてよくあるのが、
です。
これらは、英語のTOEIC並みあるいはそれ以上の準備と練習が必要になります。
当サイトの他の記事で解説と対策を共有していますので、参考にしてみてください。
事前に対策を取りさえすれば、有利な状況を生み出せるはずです。
昇格後 (マネジャー) の責任
最後に、単に給与が上がるから、ステータスが上がるからといった理由だけではなく、マネジャーとなる覚悟があるのか胸に手を当てて考えてみてください。
マネジャーになると、もちろん給与水準が上がりますが、それ以上に責任が重くなります。
というのも、責任の範囲は自分だけでなく、自分の部下の行動・活動・振る舞いにも及ぶからです。
確かに、部下を顎で使って自分は何もしないような、勝手なマネジャーが相当数います。僕もそういった無責任なマネジャーを数多く見てきました。
勘違いしないでほしいですね。あなたが偉いんじゃなくて役職が偉いだけだって。
でも、このサイトをご覧になっている方は、決してそんなマネジャーになりたくないはずです。
目指すべきは、部下を「管理する」というより「先導する」リーダーであるはずです。
実務にも長けていて、人格者であり、部下ことも真剣に考えられる。
その覚悟を胸に、昇格・キャリア形成を目指してください。
そんな素晴らしいマネジャーを目指す方に、このサイトが役立つよう、僕も頑張ります!